職業紹介事業とは

職業紹介事業とは、転職を希望する求職者と労働者を求める企業(求人者)との仲介を行って、双方の要求を満たすような転職の実現を目的とするサービスを提供する事業です。
「職業紹介事業」という表現よりもむしろ「人材紹介」という言葉のほうが一般的かもしれません。
職業紹介とは、職業安定法第4条第1項において、「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」と定義されています。

この定義でいう用語の意味は次のとおりです。

①求人
報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めることをいいます。

②求職
報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることをいいます。

③雇用関係
報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係をいいます。

④あっせん
求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすることをいいます。

職業紹介事業の種類は

職業紹介事業の種類には、次の2種類があります。

(1)有料職業紹介事業
有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し手数料または報酬等の対価を受けて行う職業紹介事業をいいます。
有料職業紹介事業は、職業安定法第32条の11の規定により求職者に紹介してはならないものとされている職業(具体的には港湾運送業務に就く職業および建設業務に就く職業) 以外の職業について、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。

(2)無料職業紹介事業
無料職業紹介事業とは、職業紹介に関し、営利を目的とするか否かにかかわらず、いかなる名義でも手数料または報酬等の対価を受けないで行う職業紹介事業をいいます。
無料職業紹介事業は、一般の方が行う場合には職業安定法第33条の規定により厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
その他、学校教育法第1条の規定による学校、専修学校等の施設の長が行う場合には法第33条の2の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより行うことができ、商工会議所等特別の法律により設立された法人であって厚生労働省令で定めるものが行う場合には法第33条の3の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより、無料職業紹介事業を行うことができます。

有料職業紹介事業の許可

許可申請の手続き

有料職業紹介事業を行おうとする場合は、許可申請手続きとして、必要書類を事業主(申請者)の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。許可申請は、事業開始予定時期のおおむね2か月前までに行う必要があります。
(許可までは、申請後2か月~3か月くらいかかります。)
職業安定法に基づく許可申請や届出については、社会保険労務士の「独占業務」となっているため、派遣事業許可のサポートを行うことができる専門家として、安心してご依頼いただけます。

許可基準(概要)

有料職業紹介事業の許可を受けるためには、次の基準を満たす必要があります。

①資産(繰延資産および営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額が500万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。

②事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。

③個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。

④申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有し、代表者および役員が適正な事業遂行を期待し得ない者ではないこと。

⑤職業紹介責任者は、業務を適正に遂行する能力を有する者であること。
・職業紹介責任者講習を受講(許可または許可の有効期間の更新に係る申請の受理の日の前5年以内の受講に限る。)した者であること。
・成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。

⑥有料職業紹介事業を行う事業所は、その位置、構造、設備、面積からみて職業紹介事業を行うに適切であること。

手数料等(実費)

収入印紙 50,000円+18,000円×(職業紹介を行う事業所の数-1)
登録免許税 90,000円

※収入印紙は郵便局で購入。
※登録免許税は、郵便局・銀行等で納付。

許可有効期間

有料職業紹介事業 新規については3年、更新については5年
無料職業紹介事業 新規、更新ともに5年

許可後の職業紹介事業報告書について

手続き及び提出期限

職業紹介事業者は、毎年4月30日までに、その年の前年の4月1日からその年の3月31日までの間における職業紹介事業を行う全ての事業所ごとの職業紹介事業の状況を報告書にまとめ、管轄の都道府県労働局に提出しなければなりません。(取扱実績がなくても提出は必要です。)